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zoom RSS 夏を看取る人

<<   作成日時 : 2009/09/09 19:04   >>

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その人は
ゆるくウェーブした金髪で
夕陽色のTシャツをきていた


ガソリンスタンドの角の電信柱に立ち
手には軍手

夕暮れなのに、
街角なのに、
耳に痛いほどセミの声

蜩やつくつくぼうしではない
いかにも夏の
セミがたくさん
その電信柱にはいた

なぜ。
何を。


たくさんの疑問符+不快感


やがて一羽のセミは
鳴くのをやめて
時が止まったように
一瞬の空白のあと
柱をてばなした


あ、
と思った私の目の前で
金の髪の軍手がそっと
優しい大地のようにセミを受け止めた


その人は、数瞬セミを見つめ
その臨終を悼むように
やさしく道路脇の植木の土に
セミを横たえた

一匹、また一匹
命の声が尽きたものが落ちるたび、
彼の手のひらがすくう

あるものはまだ、
僅かに残った命数を生かすため
再び、柱につかまらされ
命をふりしぼる

あるものは、声尽きてなお、柱にありて
優しい看取り人の手によって
あたたかな大地に還っていく


固く、土に遠きアスファルトに還るものはなし
彼の手が、夏の終わりを導いていく

ガソリンスタンドから、大きな声がして
彼は神聖にも思えたその行為とうらはらな
声で何かを応える

彼の手は、目は、看取り人のまま


帰り道
秋の虫の声しか聞こえなくなった街に
ようやく気づいた、夏の終焉

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